@techreport{oai:yamagata.repo.nii.ac.jp:00003077, author = {山野井, 徹}, month = {Mar}, note = {テクニカルレポート, はじめに 土の中から土器が出てくる.このことは別に珍しいことでもなく,当たり前のこととして見過ごしてしまいそうなことである.しかし,古代人が,それらを土の中に意図的に埋めたものでないとすれば,なぜ土の中に土器があるかは実に不思議なことである.土器がもぐり込むものと仮定し, これを真剣に実験した考古学者もいた.地質学では上にある物が,その下の地層にもぐり込むことは基本原理に反することである.しかしながら,土は地層と違うのであれば,そのようなことが起こり得るかも知れない.では一体,「土」とは何であろうか.自然科学の世界では「土」は,「土壌」(これには「古土壌」も含める)として扱うことができる.土壌は,一般的には母岩(地層や岩石)があって,それが風化した物に地表で堆積した植物遺体が分解するなどしてできた腐植が交じり込んで形成されると解説されている.ここで地表(土壌の表面)に置かれた物質について考えてみよう.まず,有機物である動植物の遺体は菌類によって分解されたり動物によって食べられたりして細片化する.これらは化学的な分解によって腐植となり,雨水に溶けて地中に浸透する.つまり腐植は上から下へもぐり込んでいくことになる.他方,無機物である礫や土器が地表に置かれたとする.これらはそれ自体で土壌中にもぐり込むことはない.また,どんなに落ち葉などの有機物が上に重なろうとも,有機物は最終的には分解して地表に残らないから,礫や石器などの無機物はそのまま地表にある.ではいつまでも地表にあるかというと,そうあることは難しく,いずれは運ばれたり,埋められたりすることになる.運ばれることは浸食作用が,埋められることは堆積作用それぞれ働くことである., 現在の地表において,無機物の堆積量がその浸食量よりも多い場合は,堆積物は累積して残るし,少ない場合は残らない.したがって,土器を埋積するような土壌は堆積物である.ただし,土壌とは,室内にもってきて乾燥したような物は土壌と言わないように,土壌として現在機能しているものを言う.こうした表層の土壌が,堆積物として,深く唾横していけば,土壌としての機能を失っていくことになる.このような,かつての土壌を「古土壌堆積物」と呼ぶことにしたい.すなわち,「古土壊堆積物」は,地表において,腐植を集積するなどの土壌化作用を受けながら,累積した堆積物である.このように考えると,水成の堆積岩が,かつての水域の底質の環境を反映しているように,古土壌堆積物はかつての地表の堆積環境を反映しているに違いない.堆積条件が整えば,こうした古土壌は各地に残されているはずである.そうした古土壌を探していたが,今回,山形市西部の白鷹山麓で見つかったので,その形態を報告し,堆積機構を考えてみることにしたい.なお,本露頭を観察するに当たり,現地で種々の討論をしていただいた本田康夫氏と田宮良一氏にお礼申し上げる.}, title = {山形市白鷹山麓の陸成層}, year = {1996} }